アジアの風だより 第98話 |
タイの冬
いや~、寒くなってきましたね。どこってタイの話ですよ。12月に入ったとたんに急に気温が下がりました。朝晩は上着を着ないと寒さで体が震えてきます。嘘ばかり書いていると思われるかもしれませんが、本当です。タイでは最高気温が30度を超えない日はなんとなく涼しく感じるのです。25度を切ると寒ささえ感じます。日本だったら春の陽気となりますが、ここタイではなぜかそう感じてしまうのです。
一説によると、熱帯では体の熱を逃がしやすくするため肌の汗腺が開き気味になり、そのため寒さを感じやすくなるとか。あるいは「熱帯で寒さを感じるはずがない」という思い込みがそうさせるのかもしれませんが、理由はよくわかりません。
今年は11月後半に入って首都バンコクでも最高気温が30度を超えない日が続きました。12月になったいま、朝の気温が25度を切る日も出ています。北部の観光都市チェンマイでは最低気温が15度を切っていて、ここまでくると、さすがの日本人も寒く感じることでしょう。
タイの北部には1000メートルを超える山々があちこちにありますが、そのあたりでは最低気温が0度近くにまで下がります。霜が降りたり薄氷が張ったりもしますが、寒さが珍しいタイではこうした現象を求めて観光客が押し寄せます。
いまタイでは日本への観光旅行が人気を集めています。タイ人がもっとも行きたがるのは冬の北海道と飛騨高山で、これも寒さを求めてのことでしょう。タイでは気温が氷点下を記録したことはありますが、雪が降ったことはありません。雪に接するためには寒い外国に行くしか方法がないのです。
北部や東北部以外では防寒具の必要はないでしょう。汗も出ないし湿度も低いしで、観光するならこれでちょうどいいくらいです。ずっとこうした気候が続けば完璧ですが、なかなかそうもいきません。タイの冬は短く、寒さを感じられるのも1月なかばくらいまで。それ以降は雨季までの数ヶ月間、気温は右肩上がりが続きます。
●国名:タイ
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