アジアの風だより 第97話 |
ローイ・クラトンの季節
11月になりました。日本はこれから冬となり、気温はどんどん下がっていきますが、それはタイも同じです。一年中暑い国と思われていますが、実際はそうではありません。雨季が終わった11月から翌年の1月にかけて、熱帯の冬と呼べるような気候となります。
その始まりを告げるのがローイ・クラトンのお祭りです。
ローイ・クラトンについては昨年こちらに書きましたので、ご参照ください。
#85 ローイ・クラトン
ローイ・クラトンのころには気温はぐんと下がるのが常です。陰暦に従って行われるこの祭、2013年の今年は今月の17日(日)がその日となります。
この日の前後は、とくに北部チェンマイと中部スコータイを中心に大きなイベントが行われます。しかし、仏教にちなんだこの行事。今年は去る10月24日にタイ仏教教団の大僧正が死去され、その喪に服す関係で延期になるのではとの憶測が広まりました。すでに中止となったイベントもあり、にぎやかな祭りは行われないとの報道もありましたが、これらは正式に否定されました。ローイ・クラトンは暦どおり17日に行われ、関係するイベントも予定どおり開催されます。
基本的には精霊流しで、バナナの葉で作った丸い灯籠(クラトン)にロウソクを立て、川に流して浄霊とする行事です。まさしく"水に流す"わけですね。それがいつしか派手で大がかりなものになり、バンコクでは大きな船を電飾して航行したりするようになりました。川岸から見ている分にはにぎやかですが、風情は薄れたかもしれません。
チェンマイでは、やはり川に灯籠を流しますが、コムローイという一種の熱気球を空に向けて放つのが名物となっています。寒い北の夜空にふわふわと浮かぶコムローイは幻想的で、一度は見てみたいもの。航空安全上の理由でバンコクではコムローイが禁止されています(チェンマイでも実はエリア限定)。無数に浮かぶコムローイを見るならバンコクを離れ、北に向かいましょう。
●国名:タイ
●県名:タイ国内全土
●行き方:チェンマイやスコータイのイベントは大勢の観光客が集まります。ホテルは満室になりますので、早めに予約しておきましょう。ローイ・クラトン関係のパッケージツアーは弊社までお問い合わせください。
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