アジアの風だより 第94話 |
雨季は熱帯フルーツの季節
8月のタイ。季節は雨季にあたります。夏休みを利用してタイに来ると、一日に一度は雨に見舞われることでしょう。全国どこも同じ季候で、運が悪ければずっと雨に降り込められることもあります。その一方で、一度も降らないこともあるでしょう。自然が相手のことなので、こればかりははっきりしません。
積極的な観光をするには微妙かもしりませんが、はっきりしていることもあります。それは、雨季はフルーツの季節であること。たっぶりの雨と湿度の高い空気が、この国に実る果物を甘く大きく熟させるのです。
熱帯フルーツの王様はドリアンでしょうか。タイではトゥリアンと呼ばれているこの果物は殻全体が大きなトゲにおおわれていて、外見だけでは中になにが入っているか見当もつきません。割るのも難儀なシロモノですが、中にはねっとりしたクリームのような実が入っていて、独特の風味と濃厚な甘さがその身上。クセのある味わいは、食べ慣れると本当にクセになってしまいます。
王様に対する女王様はマンゴスチンだと言われています。甘いだけでなくほのかなさわやかさもあるこの果物はタイではマンクットと呼ばれ、なるほど女王と呼ばれるだけの気品にあふれています。日持ちの悪い果物だけに、産地直送で食べたいところ。出回る季節は限られていますが、見つけたらぜひ買い込むことにしましょう。
甘くて酸っぱい果実ならマンゴーを忘れてはいけません。マムアンと呼ばれるタイのマンゴーは種類も豊富で、熟した実を食べてもよし、未熟でもよしの万能フルーツです。完熟した実はまさにとろける舌ざわり。シェイクにして飲んだりプリンにして食べてもおいしく、また甘く味付けしたカオニャウ(もち米)と一緒に食べても味覚が高まります。
食べ慣れているはずのバナナも、タイで食べるとひと味もふた味も違います。雨で外に出られないときは、市場で買い込んだフルーツを食べて、憩いの時を過ごすことにしましょう。