アジアの風だより 第92話 |
発展するホー・チ・ミン・シティ
アジアのどこも国もそうですが、共通しているのが「非常に活気がある」ことです。経済は発展に次ぐ発展で、とどまるところを知りません。「東南アジア=発展途上」だったのは過去のこと。日本で言えば70年代の高度成長時代でしょうか。それくらいの勢いで、どの国も発展終了に向けてまっしぐら!といったところです。
ベトナムも例外ではありません。首都は北のハノイですが、発展しているのは南のホー・チ・ミン・シティです。ハノイの開発と発展も進んでいますが、こちらに比べればまだまだの話。ホー・チ・ミン・シティの発展の速さはバンコクやジャカルタと比較しても劣りません。
古い街並みは再開発の連続です。ベトナム戦争当時からあった古い建物はドイモイ以後も残されていましたが、それらが次々と取り壊されています。その後に建つのは近代的なオフィスビルと高級ホテルの数々。サイゴン川のほとりに建てられたビテクスコ・フィナンシャルタワーはその代表で、高さ262メートル、全68階建てというすごさ。しかも、このビルの隣に同じような高さのビルが建設されており、バブルとも呼べるその勢いはまったく衰えていません。
ホー・チ・ミン・シティの中心部はサイゴンとも呼ばれていますが、風景はかなり変わりました。名物だったシクロ(人力三輪車)は市内から追い出され、ほとんどセオム(バイクタクシー)になりました。道路を埋めつくすバイクは四輪車へと変わりつつあり、渋滞はさらにひどくなっています。地下鉄が通される計画はありますが、工事はまだ始まっていません。人口はかなり飽和状態になっており、繁華街中心部は息苦しさを感じるほどです。
ベトナム女性と聞くと優雅なアオザイ姿を連想しますが、着ている人はめっきり減って、もはや探さないと見当たりません。経済の発展にともなって失われるものはたくさんあります。ベトナムのよさやベトナムらしさは、すでにホー・チ・ミン・シティでは見つけられなくなりつつあります。
●国名: ベトナム
●行き方:
日本からもタイからも直行便が出ている。便数も多いのでアクセスは便利。航空券やホテルに関しては弊社にお問い合わせください。