アジアの風だより 第61話 |
タルタオ島
タルタオ島はタイ国最南部に近いアンダマン海上に浮かぶ島。目と鼻の先に隣国マレーシアがあります。合計51の島々で構成されるタルタオ海洋国立公園の入口になっていて、海が荒れない乾期の間だけ観光客を受け入れています。
島の宿泊施設は質素な公営のバンガローしかないので、ほとんどの観光客は他の島の行き帰りに立ち寄るだけですが、わざわざそうする価値は充分にあります。
まずは南の島になくてはならないビーチですが、この島の砂浜は鳴き砂で知られています。裸足で踏みしめれば「キュッキュッ」と鳴きますので、忘れずにお試しを。ただし強い日差しに焼けて熱いので、足の裏をヤケドしないように。
島には珍しく博物館があります。この島は古くから南洋漁業の基地になっていて、嵐になると漁船はこの島に避難しました。そうした歴史が学べるほか、魚のほかに鯨も捕れていたようで、大きな骨なども展示されています。
ほかでは囚人の遺物が目をひきます。現在は楽しい観光の名所ですが、かつてこの島は罪人の流刑地だったのです。まさしく島流しで、日本で言えば佐渡島でしょうか。さすがにここまで連れてこられたら、そう簡単には本土には戻れません。リゾート滞在気分で罪を償うのは、いったいどんな気持ちでしょう。楽しそうな気もしますが、実際は苦しい日々だったかもしれません。
島のビーチは長く大きく美しいですが、リゾート開発されていないので、遊び場はほとんどありません。観光船が往来する時間帯以外は人の姿もなく、驚くほどに静かです。静かすぎて心細くなってしまうのは、ここがタイ国最果ての地だったからかもしれません。島流しにあった囚人の気持ちを追体験してみたい人は、思いきってこの島で夜をすごしてみてはいかがでしょう。
●国名: タイランド
●県名: サトゥン
- 行き方 -
バサトゥンの町からパークバーラーの港に行き、船に乗って約1時間半で到着。バンコクからサトゥンまでは長距離バスで直行。空路の直行便はないのでバンコクから隣県のハート・ヤイ空港まで飛び、そこからバスや車でサトゥンに向かう。