アジアの風だより 第43話 |
湖上の一夜
カオ・ソック国立公園
スラー・ターニーとパンガーの両県にまたがるカオ・ソックはタイ南部最大の国立公園です。
園内は天然の熱帯雨林ジャングルになっていて、野生のトラやゾウがいまでも生息しているというすごいところ。うっかり中で迷ったら生きては出られません。
それほど深く豊かな大自然の中で一晩を過ごし、リフレッシュしてきました。
泊まったのは国立公園内の湖の上。竹でできたいかだの上に小屋が乗っていて、そこで寝泊まりすることができるのです。
湖の名前はチャオラン湖。ラーチャプラパ・ダムにせき止められて生まれた人造の湖です。淡水湖ですが水は青く澄んでいて、まるで日本の山奥に来たかのよう。とてもタイとは思えません。
無料で貸してくれるカヌーを漕いで、湖上を気ままに渡って行きます。風もなければ波もなく、湖面は鏡のように真っ平ら。イライラさせる騒音もなく、たまに聞こえてくるのは鳥や猿の鳴き声くらい。世界にまだこんな静かな場所があるのかと驚くくらい静かで、耳をすませると「シーン」という音が聞こえてきそう。
漕ぎ疲れて体がほてったら、そのまま水の中に飛び込みます。ライフジャケットを身につけているので、なにもしなくてもぷかぷか浮いて無重力気分が漂います。このままなにもしないでずっと浮いていたい……それほどのんびりいい気持ち。
観光名所を次々と疾走するように見物するのもいいですが、こうやってなにもないところでなにもしないのもまた格別。なにもせず、なにも考えずにただ時を過ごせるのは現代では最高の贅沢なのですから。
●県名:スラー・ターニー
- 行き方 -
スラー・ターニーかパンガーからラーチャブラパ・ダムに行き、そこから船に乗り換えて到着。
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