アジアの風だより 第239話 |
タイ国内での危険と注意
夏から秋にかけては日本人にとって最高の海外旅行シーズンです。驚異的な円安が続いているにもかかわらず海外旅行熱は高く、この夏にハワイを訪れた日本人の数はこれまでの記録を更新したとか。手軽な東南アジア方面へも多くの方が訪れたようです。
タイ王国に関しては、隣国カンボジアとの間での国境紛争が懸念されていましたが、影響はあまりなかったようです。今回は、この件を含めてタイでの危険やトラブルについて考えてみることにしましょう。
まずはその国境問題ですが、外務省や在タイ日本国大使館から警告が出されているものの、対象地域はタイとカンボジアの国境周辺地域に限定されています。このあたりは最初から一般の観光旅行者が足を踏み込む場所ではありません。有名なクメール遺跡はありますが、そもそもがアクセスの不便な場所にありますので、危険なエリアにうっかり入ってしまうことは間違ってもないと思われます。
それよりも注意したいのは、もっと身近な繁華街でのスリや窃盗でしょう。バンコク都内のバス車内や混雑した街頭などがおもな犯行現場になっていますが、古式マッサージの店でマッサージされている間に紙幣をこっそり抜かれるといった事件も発生しているようです。これは、あとで文句が言えないような怪しい場所には行かない、そんな店は最初から利用しないのが一番の対策になります。
また盲点的な場所として寺院があります。本堂の拝観などの際に靴を脱ぎますが、買ったばかりのブランドスニーカーなどは高額で転売できるので狙われます。寺院のような聖域でそんな不敬な……と思ってしまうのが落とし穴。信仰心など最初から持ち合わせていない連中はこの世に大勢いるのです。
一部の寺院では靴用のロッカーが用意されていたり、袋に入れて自分で持って歩くようになっているところもあります。手元に100円ショップで売られている番号式の小さな鍵があると、こうした場所で役に立つかもしれません。これはカバンの中に入れておいても悪くない小物のひとつです。
フィリピンの首都マニラでは日本人を狙った拳銃強盗が多発していますが、命の危険があるような犯罪はタイでは希有です。それでも注意だけは怠らないようにしておきましょう。
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●国名: タイ
取り出し口がジッパーなどで閉じられないバッグは持ち歩かないのが賢明。ひったくり対策としてバッグは通り側ではなく歩道側に下げるのを習慣としたい。
タイからはじめるバックパッカー入門 藤井伸二 著