アジアの風だより 第233話 |
異色なカオサンのナイトマーケット
先日、日本から来た友人がナイトマーケットに行きたいと言うので具体的にどこがいいかと訊ねたところ「カオサンはどうかな?」と返されました。カオサン通りは日本ではすでに「ナイトマーケット」という認識を持たれているようです。往年のバックパッカーは「?」という感じかもしれませんが、いまや時代は変わったのです。一部ではいまだに「バックパッカーの聖地」とか言われたり書かれたりしているようですが、そのような面影はすでにすっかりなくなりました。
バックパッカーの聖地だったころのカオサンには彼らが寝泊まりする安宿=ゲストハウスがありました。しかし現在では2軒ほどが看板を上げているものの、旅行者が実際に宿泊できるかはっきりしません。また、かつてここには格安航空券を販売する旅行代理店が軒を連ねていましたが、それらもすべて消滅しています。ネットで販売される航空券が最も安い現代では、そのようなビジネスは成り立ちません。ですのでいまだにカオサンを「バックパッカーの聖地」と呼んでいる人やメディアがいても「ああ、なにも知らないんだな」とスルーするのが賢明です。
現代のカオサンは、日中は露店とマッサージ屋が並ぶのんびりした観光地です。しかし夕方あたりから雰囲気は一変し、軒を連ねるクラブが通りまで椅子とテーブルを並べます。午後9時以降は各クラブが競うように音楽を最大音量で流し、爆音ストリートに大変身。騒音と喧騒が渦巻く一帯は耳栓なしには長時間滞在できません。大げさなようですが、これは本当の話です。難聴気味の方は用心するか、夜間は近づかないようにしておくべきでしょう。
マーケットと呼ぶには売り物のバリエーションに乏しく、特にここで買うべきものも見当たりませんが、観光客向けの名所としては一級です。珍しい場所に行ってみたという経験と自慢話が欲しかったら行って損はありません。
ただしバンコク都は月曜日の露店営業を禁止しています。カオサンも例外ではないので月曜に行っても露店は出ておらず、歩道にテーブルも並んでいません。行くなら月曜以外の午後9時以降と決めておきましょう。
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●国名:タイ
●県名:バンコク
- 行き方 -
今ではバンコク有数の観光名所になっているのでその名を知らないタイ人はいない。「カオサンロード」と言えばほぼだいたいわかってもらえる。
タイからはじめるバックパッカー入門 藤井伸二 著