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HOMEコラムアジアの風だより第230話 バーン・パインの洋風寺院

アジアの風だより 第230話

バーン・パインの洋風寺院

バーン・パインは世界遺産に指定されているアユタヤー遺跡公園の南にある小さな町です。観光ツアーで遺跡観光の前または後で立ち寄るバーン・パイン宮殿がある町ですが、ほかになにがあるかというと、正直なにもありません。バーン・パインの観光名所はこの宮殿と、今回紹介するワット・二ウェート・タンマプラワットだけと言い切ってもいいでしょう。

このワット・二ウェート・タンマプラワットは、現王朝で最も偉大だと考えられているチュラロンコーン大王ことラーマ5世によって建てられました。それだけでも超の付く格式があります。距離的にはバーン・パイン宮殿のすぐ近くにありますが、これがなかなか近くて遠い。この寺院はチャオプラヤー川の中州にあるため、そう簡単には行くことができないのです。

寺院の敷地に入るためには川を渡る必要があります。ところがここには橋が架けられておらず、舟の行き来もありません。渡る方法はただひとつ、川の上に渡されたケーブル式の小さなゴンドラを利用するだけ。これに乗る以外に川を渡る方法はありません。これによって少人数の参拝客しか受け入れない仕組みになっているのです。

寺院はもちろん仏教式ですが、チュラロンコーン大王が肝煎りで建てただけあって普通ではありません。デザインはすべて欧風で、見慣れたタイの様式とはまったく違っています。本堂などはキリスト教の教会かと思えるくらいシンプルに洗練されており、タイの寺院ではあたりまえとも言えるゴテゴテした原色の意匠もありません。

中に入ってみましょうか。まず驚かされるのは入口の自動ドアです。こんな仏教寺院はほかにはありません。足を踏み込むとさらに仰天。「ここは本当に仏教寺院なのか?」と目を疑う完全な西洋教会の様式に誰もが驚愕することでしょう。エアコンもよく効いていて、外の世界とは完全に隔絶されています。

バンコクでは、やはりチュラロンコーン大王の手による大理石寺院ワット・ベンチャマボピットやワット・ラーチャボピットが欧風ですが、そうした様式の頂点にあるのがこのワット・二ウェート・タンマプラワットではないでしょうか。

観光客の多くはバーン・パイン宮殿には行きますが、この寺院には寄りません。時間の関係もあるでしょうが、非常にもったいない話です。個人旅行でバーン・パイン宮殿に行くのなら、この寺院にもぜひ足を運んでほしいものです。

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●国名:タイ
●県名:アユタヤー(プラ・ナコーン・シー・アユッタヤー)
- 行き方 -
バンコクから鉄道やバス(ロッド・トゥー)を利用して行くことができる。駅やバス停は、バンコクからだとアユタヤーの手前(南)。そこからはやや距離があるのでバイクタクシーなどを利用する。アユタヤーからは約15キロ。こちらも鉄道やバスが利用できる。

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