アジアの風だより 第23話 |
ノンタブリー
ノンタブリーに行ってきました。ここはバンコクの北にある県で、そう遠くはありません。東京で言えば埼玉あたりといったところでしょうか。要するにそんな、首都の近くにある田舎の町であります。
どうしてそんなところに行ってきたかというと、洪水を見てみたかったから。今年のタイは数年ぶりに洪水の被害が大きく、あちこちで冠水しています。ノンタブリーはバンコクの近郊都市で最も水害の報告が多い町ですから、きっとなにか見るべきものが──洪水の被災者の方、すみません!──あると思ったのですね。
王宮近くの船着き場から船に乗り、チャオプラヤー川を北に進みました。ちょうど北部地方に降った雨が川を下って流れ込んでくる時期で、たしかに水位は上がっています。場所によっては危険水域に達しているなあと思いながら川べりの風景を眺めていたら、そのうち浸水している家が見えてきました。波が立つとさらに浸水してしまうので、川面を走るボートも速度は落とされ、いつもの半分くらいの速さしか出ていません。
人々は水に浸った敷地に橋を架けて、足が濡れないように工夫しています。野良犬たちは水浴びをかねて走り回り、なんとなく風流な眺めですが、周囲を水に取り囲まれた家の人たちにとっては災害以外の何物でもないでしょうね。
そしてようやくたどりついたノンタブリーの街ですが、なんとすっかり水が引いたあと。汚れが洗い流されたのか、街並みもなんとなくきれいになっていました。
被害が少なくてよかったのですが、わざわざ出向いてきた私にとっては、ちょっと物足りなかったですね(最後まで失礼!)。
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