アジアの風だより 第229話 |
2024年のローイ・クラトンは11月
11月です。2024年もあと残すところ2ヶ月を切りました。年の瀬が近づいている雰囲気はありませんが、このところタイ国内の気温も下がり始めており、季節が変わったことを告げています。
今月、タイではローイ・クラトンが行われます。陰暦(旧暦)で決まるため西暦(新暦)では毎年日にちが変わりますが、2024年の今年は11月15日(金)です。
このローイ・クラトンが来たあたりで、ようやく雨期が明けます。今年の雨季は例年より長めで雨量も多く、タイの北部や東北部では記録的な水害となりました。タイの首都バンコクも例外ではなく、中心を流れるチャオプラヤー川の水位も危険なレベルにまで高まりましたが、幸いなことにそれを超えることはなく、洪水になることなく雨季は終了した模様です。タイミングが悪いと洪水寸前の状態でローイ・クラトンを迎えることになり、場合によってはクラトン流しが禁じられたりもしますが、今年は遅めの暦となったために免れました。これはもう運がよかったとしか言えません。
ところでこのクラトンですが、すでに何度もこのコーナーで説明しているように、小さな丸い灯籠にロウソクを立てたものを言います。これを川に流して精霊に清めと感謝を示すのがローイ・クラトンの行事で、タイを含む仏教国で古くから営まれてきました。日本では精霊流しとして伝えられています。ロウソクのほのかな明かりを浮かべたクラトンが暗い川面を静かに漂っていく光景は幻想的で、悠久の浪漫を感じさせてくれます。
ただ最近はこれが派手なイベントと化し、川べりでは大音量の音楽が流されて雰囲気がぶちこわされることもしばしば。さらにはコーム・ローイと呼ばれるランタンが空に上がって航空機の運行に支障が出たり火災を発生させたりして油断がなりません(注1)。
今年はハロウィーンの夜も思ったより静かで、日本のような騒ぎも起こりませんでした。ローイ・クラトンもそうなってくれれば、タイのよき伝統を感じられる日になることでしょう。
(注1)市街地では禁止行為。昨年の記事に若干の説明あり。
●国名:タイ
●県名:タイ全国で開催
- 行き方 -
クラトンを水に流すので池や川の水際がにぎわう。ビーチリゾートでは海に流したり、ホテルではプールに浮かべたりするイベントも企画される。
タイからはじめるバックパッカー入門 藤井伸二 著