アジアの風だより 第213話 |
チャチューンサオの巨大なピンク・ガネーシャ
ここ数年、日本人観光客の間で人気急上昇スポットになっているがバンコクの東、ここチャチューンサオ県にある「ワット・サマーン・ラッタナーラーム」です。人気の理由は、この寺院の境内に鎮座する巨大なピンク色のガネーシャ像にあります。普通の寺院でお参りするより願い事が3倍のスピードでかなうと信じられていて、日本人はもちろんのことタイ人の間でも超人気になっています。
ガネーシャは仏教ではなくインド系のヒンドゥー教の神で、4本の腕を持ち、首から上は象そのものの姿をしています。商業・学問・芸術の神であり、仏教徒タイ人でも商売繁盛、学業成績の向上、技芸技術の上達を願って普通に祈りを捧げています。家庭やオフィスでも仏壇と同じ位置にこのガネーシャ像を祀っているところが多く、またその特性から学校や市場などで特に大切に崇められています。
そんな神様への願い事が通常の3倍速でかなうわけですから、参拝者が増えるのも当然のこと。平日はもちろん週末は特に大勢の参拝客があふれ、境内には願い事をする人々の行列が長々と続きます。
このガネーシャへの願い方が普通とは違っているのでご注意ください。このピンク・ガネーシャ様は忙しいので、下々の願いを直接聞いているヒマがありません。そこで手前にいる2頭のネズミから願いを聞きます。参拝者は失礼のないよう、このネズミの像に願い事を伝えます。
順番が来たら、このねずみ像の耳に願い事をささやきましょう。このとき、ささやくほうの反対側の耳をふさいでおく必要があります。そうしないと願い事が大きな耳から漏れ出てしまってネズミの頭に入りません。願い事がガネーシャ様まで届かないので、しっかりと作法を守りましょう。
ネズミの前で順番を待つ間にタイ人の行いを観察してみてください。なにやら真剣に、そしてこっそりとささやいています。日本語を理解してくれるかはわかりませんが、私たちもしっかりとお願いしてみましょう。タイを出国するまでに、なにかいいことが起きるかもしれませんよ。
●国名: タイ
●県名:チャチューンサオ
- 行き方 -
バンコク都内からバスで行く場合はモーチットまたはエカマイのターミナルから乗車する。バスは小型で席数が少ないので早めに行って席を確保したい。鉄道はバンコク中央駅(フアラムポーン)から出ているが本数が少ないので事前に出発時間を確認しておこう。
チャチューンサオに着いたらワット・サマーン・ラッタナーラーム行きのソンテウ(トラックを改造した乗り合いバス)を探そう。バスターミナルや鉄道駅で待っていればやってくるので、それに乗れば寺院の前まで運んでくれる。
タイからはじめるバックパッカー入門 藤井伸二 著