アジアの風だより 第204話 |
2022 タイは再び洪水の危機に
通常では、10月に入ると雨季は終わりに近づきます。タイでは6月ごろから始まるこの雨季は、毎年10月から11月にかけてのあたりで終了となり、年末年始の観光シーズンを迎えます。
雨季の終わりには激しい雨が降り続きます。それもまた毎年恒例なのですが、2022年の今年は雨季の終わりになる前から激しく長く降っています。台風も多く通過して、タイ国内は北部・東北部を中心に大荒れの天気が続きました。その結果、大量の雨が降りそそぎ、これらの地域は次々と洪水の危機に襲われました。各地のダムの貯水量は軒並み100%を越え、川は氾濫し、農地や繁華街が広い範囲で水没しました。
タイ東北部の洪水は、10月に入った現在でも続いています。また北部チェンマイでは市中を流れるピン川があふれ、数年ぶりに繁華街が水びたしになりました。ナイトバザールが浸水して営業休止になるのは2011年の大洪水以来でしょうか。
その水が南下して中部を襲い、アユタヤーでは世界遺産の遺跡に水が入ってしまいました。首都バンコクの北隣ノンタブリー県でも広い範囲で洪水となり、浸水した地域では住人が大勢退去する事態となっています。
このままでは次の被害地はバンコクです。なにしろバンコクの中央を流れるチャオプラヤー川の上流にあるのがノンタブリー、アユタヤー、ロッブリーで、いずれも深刻な洪水の被害が出ています。その水が押し寄せてくるわけですから、ただですむはずはありません。
バンコク都知事の元、職員は夜を徹しての対策を続けていますが、なにしろ相手は大自然です。そう簡単にはいきません。しかし彼らには2011年の経験と教訓があります。結果はこれからの雨量次第でもありますが、なんとか乗り切ってくれることを願いましょう。
●国名: タイ
●県名: バンコクを含むタイ国内の広域
タイからはじめるバックパッカー入門 藤井伸二 著