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アジアの風だより 第20話

カオサン通り

私はカオサン通りのゲストハウスで寝泊まりしています。この通りとのつきあいは長くて、数えるともう10年以上になってしまうでしょう。

これだけ長くいると友達もかなり増えるし、無数に出ている屋台にもたくさんの顔なじみがいます。先日、夜にこの通りをぶらぶらしていると、そんな知り合いの1人であるペンという女の子に会いました。彼女はここで野菜入りの揚げ春巻きを作って売っていたのですが、見ると商品がパッタイ(タイ風の焼きそば)に変わっています。野菜入り揚げ春巻き屋台は彼女がほぼ最初で、当時はものすごく好調な売れ行きでした。

なのに、なぜパッタイに変えたのか。たずねてみると、
「タイ人にはこのほうが売れるのよ。最近のカオサンはファラン(白人)が減ってタイ人ばかりになっちゃってね。揚げ春巻きはファランにはよく売れたけど、タイ人には全然売れない。だからパッタイを売るようにしたの」

彼女が言うように、最近のカオサン通りはすっかりタイ人の若者のための街になっています。以前はバックパッカーの街と呼ばれ、いまもたしかに姿を見ますが、それを圧倒するくらい多いタイ人が、特に夕方ごろからここに詰めかけてきます。月の初めの週末などは歩くのも大変なほどの人出になり、屋台で満足に買い物することもできないほど。

おかげで物価も高くなってきたし、こうなると揚げ春巻き屋台ではないけれど、商売替えならぬ宿替えなども、真面目に考えなければならないかもしれません。

カオサンはバックパッカーの街……そんな言葉が懐かしいなあ。だったらみんなどこに行ったのかってことについては次回をお楽しみに!