アジアの風だより 第192話 |
開国に向けた一歩
2021年も10月に入り、残りはあと3ヶ月となりました。タイの政府は今月からバンコクその他のエリアを開放し、外国人旅行者を受け入れると発表していましたが、大方の予想どおり来月以降へと延期になっています。
ただし、タイ国内におけるワクチンの接種は加速しています。外国人観光客受け入れの条件になっていた全国民のワクチン年内2回接種完了は難しくなっているものの、目標に向かって着実に進んでいるのは間違いありません。
こうしたことを受け、新型コロナウイルスCOVID-19対策の規制も緩められており、現在は飲食店での店内飲食も可能になっています。公園の開放や映画館の再開も始まっており、繁華街には活気も戻ってきました。それにともない全体に気持ちが緩んでいる気配も見受けられますが、ここはもう一度、気を引き締めたいところです。
ところで今月は恒例の菜食週間(キンチェー)があります。陰暦によるので開催日は毎年変わりますが、今年は10月6日から14日までがそこに当たります。
中国仏教に起因する宗教行事で、この期間は肉類を口にしません。ただしこれは強制ではなく任意で、仏教徒であっても必ず行う義務はありません。また強度もそれぞれで、徹底して肉を避ける方と半日(昼食または夕食)だけに限定して行う方がいます。行わないからといってバチが当たるようなこともないようです。
例年ですと、華僑の多いチャイナタウンを中心に盛大なイベントを交えて行われますが、今年は新型コロナウイルスの蔓延もあり、昨年と同様非常に地味かつ小規模に行われています。それでも国全体の経済活動が10%ほど落ちるという予測が出ているほどで、食生活が地味になると、出費もそれくらい下がってしまうわけです。
今月末には新型コロナウイルス対策がさらに緩和されるという噂が流れています。外国人の入国規制緩和も検討されていて、それに合わせたのかタイ国際航空は日本往復の格安航空チケットの予約を開始しました。タイとの自由な行き来の再開は、もうすぐそこまで迫っているのかもしれません。
●国名:タイ
タイ国内の新型コロナウイルス規制の内容はCCSA(タイ政府新型コロナ政府対策本部)によって2週間ごとに見直される。
菜食週間(キンチェー)は全土で行われているが、今年は去年と同等かそれ以上に静かな開催となっている。
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