アジアの風だより 第164話 |
タイの洞窟と危険について
記憶もかなり薄まりましたが、それでも思い出すことはできるでしょう。2018年にタイ北部山中の洞窟で発生した13人の遭難事故です。タイトルは未定ですがNetFlixでの映画化も決定しているので、世間が忘れたころにまた話題になるかもしれません。
「タイで洞窟」という事実にピンとこない方がいるかもしれませんが、実はこの国は洞窟の宝庫。国内のあちこちに大小様々の洞窟があり、いくつかは整備され観光地になっています。首都バンコクに近いところであれば、西部カンチャナブリーに見事な洞窟があります。有名な「戦場にかける橋」見学ツアーのプログラムに組み込まれていたりもするので、訪れた方もいるのではないでしょうか。
洞窟には長短大小ありますが、どこも立派な鍾乳石が頭上からぶら下がっています。整備された洞窟はルートが策定され、不安定な足場には歩道や階段が設置されています。そうした洞窟の入口には警備員やガイドがいて、懐中電灯を貸してくれたり有料でガイドしてくれます。暗い洞窟内ではなにが起こるかわかりません。ツアーに参加していないのなら積極的にガイドを利用しましょう。
入口にガイドがおらず、また内部に照明や足場が設置されていないような洞窟は、たとえそこがガイドブックに記載されている場所であっても足を踏み入れないのが原則です。もしかしたらそこは天候その他の条件が悪く閉ざされているのかもしれません。
そのような状況になっても入口に鍵をかけたり立ち入り禁止にしたりしないのがタイという国です。「誰もいない=冒険」ではなく「危険」と認識するのがアジアを含めた海外で楽しく無事に旅を続ける秘訣です。入口のあたりで引き返すのが賢明でしょう。
洞窟内で遭難した13人には土地勘がありました。そんな彼らでも遭難するのですから、土地勘のない外国人では救助もできない事態になっていたかもしれません。
安全はお金と経験で買うのが海外旅行です。これからの季節、雨による増水も頻繁に起こるので、十分な注意が必要です。
●国名:タイ
●県名:洞窟はタイ国内の各地に点在している
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