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HOMEコラムアジアの風だより第130話 タイの母の日

アジアの風だより 第130話

タイの母の日

母の日は、世界的に見るとだいたい5月にあります。日本やアメリカでは5月の第2週の日曜日がその日ですが、第1週または最終週に設定されている国もあります。いずれにしても5月に集中していますが、タイではこれが8月になります。

タイの母の日は曜日に関係なく8月12日で固定されています。これはタイ国王の奥方であられるシリキット王妃の誕生日がその日だからで、「王妃=国民の母」と考えられているこの国ではごく自然な考え方と言えるでしょう。父の日は、当然ですが国王の誕生日で、こちらは12月5日がその日にあたります。

母の日にはカーネーションを贈るのが決まり事になっていますが、タイでは日本では見られないことも行われます。それは「母の足を洗う」ことで、たらいに水を張り、椅子に座った母の前に置いてその足を清め、感謝を示します。

これは母の日に限って行われるわけではありません。高齢者や僧侶など徳の高い人に感謝を示す行為で、仏教の教えに基づいています。8月12日のタイでは、特に朝に出歩くと、あちこちでこうして感謝しながら涙する人々の姿を目にすることができるでしょう。

そのあとは家族そろって食事に出るのが恒例です。このため、この日はレストランなどの飲食関係の店が大繁盛となります。母の日は祝日でもあるので、昼も夜も空席待ちの団体客で店の前は大にぎわい。そのほのぼのとした光景を前にすると、タイはまだまだ大家族の国であることを痛感します。

日本にいてもタイにいても、8月は母に感謝してみませんか。暑い8月に母の日とか言い出したり、突然足を洗わせろと言い出したりすると頭の調子がおかしくなったと周囲に思われるかもしれませんが、かまいません。「こういう国もあるんだよ」と言いながら、タイの慣習を真似てみると、なんだか親孝行ができたような、そんな気持ちになれるはずです。

*2016年の今年は8月12日(金)が祝日となるため、12日から14日までの3連休となります。

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●国名: タイ
●都市名: タイ全土

バンコク在住著者の藤井伸二が、個人的に「ここはおいしい」という食事処を紹介。ガイドブックにも載っている有名なレストランから入るのがためらわれる路地裏のローカル屋台風食堂まで。
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