アジアの風だより 第13話 |
ター・トーン チェンマイ
ター・トーンはタイ北部チェンマイのほぼ最北端に位置する小さな町です。町の中にはコック川が流れ、船着き場には観光用の船が何艘も係留されています。これに乗って3時間も行くと、たどり着くのはチェンラーイの町。ター・トーンを訪れる外国人旅行者の大半はこの船の旅、リバークルーズを楽しむためにやってきているほどで、車に乗っても行けますが、時間が許せばそうやって船で流れてみるのも楽しいものです。
そのほかでは町を見下ろす小山の上に立つワット・ター・トーンが有名です。登ってみれば一目瞭然のように、町の全貌が一望できるでしょう。静かに流れる川に沿って広がる緑豊かな街並みは、いつまで眺めていても飽きません。
しかしこのワット・ター・トーンは、これだけではありません。山の上に構える大仏はたしかに見ごたえありますが、実はこれはこのワットの氷山の一角。大仏の裏を回ればワットからワット、仏塔から仏塔と、行けども果てしない参道が延々と続いているのです。道は激しいアップダウンが続き、よほどの健脚でも最後まで行くのは困難でしょう。ですから、もし行くのであれば、山のふもとで乗り物をチャーターしておくことです。さもないと町に帰ることができなくなるかもしれません。
それほど苦労してたどり着いた先にはなにがあるのでしょうか。これが実は、なにもありません。大きな仏像がありますが、そこで道は行き止まり。なぜかって? というのもここから先はタイではなくミャンマー領になってしまうため、前に進むことができないのです。
展望台のようなものがありますので、そこから眺めてみましょうか。目に見える緑におおわれた山々はすでにミャンマーの領土です。そう言われてもピンときませんが、日頃国境を目にする機会のない我々には、なかなか新鮮な風景でもありますよ。