アジアの風だより 第129話 |
重要な仏教日
タイは仏教国です。国教に指定されてはいませんが、国民の95%が仏教を信仰しているといいますから、仏教が生活と行動の基盤になっているのは疑う余地がありません。
そんなこの国には年に3度の仏教日があります。マーカブーチャーと呼ばれる万仏節、ウィサーカブーチャーと呼ばれる仏誕節、アーサーハブーチャーと呼ばれる三宝節で、いずれも等しく重要ですが、そのうちのひとつがこの7月にあります。旧暦に従うため年によって日が違いますが、アーサーハブーチャーはいつもだいたい7月で、2016年の今年は7月19日がその日です。仏教国らしくこの日は国民の祝日に指定されています。
翌20日はカオ・パンサーと呼ばれる日です。カオ・パンサーは、直訳すると「パンサー入り」になります。文字どおり「パンサー(安居)」に入る日で、この日から僧侶たちは寺院にこもり、表だった行動を控えるようになります。日本では「入安居」と呼ばれていますが、あまり敬虔でない最近の日本人でこの言葉を知っている人はそれほどいないと思われます。
一般市民も、この日から禁欲的な生活を心がけるようになります。仏教ですから、まずは飲酒をひかえます。出家中の僧侶は女性との接触を禁じられていますので、色恋からもなるべく離れるようにします。喫煙は規制されていません。お釈迦様の時代にはタバコが普及していなかったので、禁忌の対象になっていないのです。
こうした生活を続けながらパンサーから出る日を待ちます。「出パンサー」、つまりオーク・パンサーの日は、2016年は10月16日です。この日は祝日ではありませんが、タイの全土の仏教寺院で厳かな儀式が行われます。
毎年、カオ・パンサーとともに本格的な雨季が始まり、オーク・パンサーとともになんとなく雨期が明けます。タイの仏教行事は人々に季節の変わり目を告げるイベントでもあるのです。
*2016年は7月19日(火)のアーサーハブーチャー(三宝節)が祝日。翌20日(水)のカオ・パンサーは祝日ではありませんが、かわりに前日の18日(月)が特別に祝日に指定され、16日(土)から4連休となります。
- 7月16日(土)
- 7月17日(日)
- 7月18日(月)特別休日
- 7月19日(火)アーサーハブーチャー(祝日:酒類販売規制日)
- 7月20日(水)カオ・パンサー(平日)
●国名: タイ
●都市名: タイ全土
バンコク在住著者の藤井伸二が、個人的に「ここはおいしい」という食事処を紹介。ガイドブックにも載っている有名なレストランから入るのがためらわれる路地裏のローカル屋台風食堂まで。
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