アジアの風だより 第3話 |
チェンマイ
今年の日本は記録的な暑さらしいですが、一方のタイでは記録的な豪雨を記録しています……と書くと珍しいことのように思われるでしょうが、実はここ数年のタイは記録的な豪雨に毎年襲われています。去年は南部ハジャイを中心に水害が発生しましたが、今年は北部と東北部に被害が集中しています。
その北部の中心都市チェンマイに行ってきましたが、市内を流れるピン川の水位が高まって危機的な状況になっていました。ナワラット橋より南ではすでに川水が入り込み、一部で交通規制が始まっています。水かさがあと10センチほど増えたら、この一帯は完全に水浸しになってしまうでしょう。
ラジオのスイッチを入れると各地の被害状況が次々と聞こえてきます。特にひどいのは東北部ペッチャブーン県のロムサックで、ここでは鉄砲水で数百人の人間が一度に亡くなりました。チェンマイでも川ぞいのレストランのいくつかは店を閉め、学校などは休校になっています。タイ軍部は兵士による対策活動の準備を始め、役所は危急の事態に備えて買い出しを奨励するなど、各地の緊張は徐々に高まっています。
しかし、子供たちにとっては関係ありません。学校は休みになるし、家の近所には水たまりができて、ゴムボートを浮かべて手軽に遊べるようになりました。水が浸かりそうな家の親たちは深刻な顔で避難の準備をしていますが、その横で子供たちがキャッキャと遊んでいます。
どんなときにも笑顔を忘れないのがタイ人のよさですが、鉄砲水に流されることだけは、みんな避けてほしいものです。
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