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旅行会社こぼれ話 第16話

ハワイ・・・当たっちゃったけど、でもハズレ??

私は、よく人から 『アジアが本当に好きなんだね~。』 と言われる事が有り、確かに自分でも思い当たる節がいくつか有ります。

香草(パクチーですね。)たっぷりの料理も、舌が焼け落ちそうなぐらい唐辛子で、真っ赤な激辛料理でも何でもイケますし、大好きです。そして、休みを取っちゃいつもフラフラと一人で"アジア・ドサ回りの旅"に出掛けていたので 『この変人!』 ともよく言われました。でもこんな私も実は、生まれて初めての海外旅行と言うのは世間一般のお嬢さん方と等しく、女2人でしかも、俗に言う 『ハワイでバカンス~ウ』 だったのです!誰も信じてくれませんが、事実なのです!!

当時はバブルのはじける一歩前。でも、まだまだ皆さん景気の良いお話で一杯の頃でした。『一社に付き定員5名まで』 と書いているハワイ観光局の業者向けパーテイの招待状を持って、私たち幣社員一同は8人で会場に乗り込みました。年功序列制度が根強く生きる幣社の事、人数頭割れの3人はペーペーばかり。その3人はもし会場入り口で止められでもした場合は、大人しく帰る、と言う約束で上司と先輩に付いて行きました。その3人の中でも一番下は勿論このカウンター嬢の私でございました。

会場に入り、どうにか人数制限の件もクリアーした事を知り、安心して食事を取りました。そして、その日のメインイベントで有る、ハワイ観光局さんと米系の某航空会社さん主催の、豪華3名様に当たると言う 【ペアでハワイの旅、お名刺大抽選会!】 と言うのが始まりました。そう言えば一人一人の名刺を入り口で係りの方が回収されてたのを思い出しました。そして、なんだか凄くオーバーアクションなお姉さんが登場し、

「それじゃ、社長!一枚目を引いて頂きましょう・・・!!」

「○○○観光、あ~~っ! コアラのマークが見えます…・。○○○○様、おめでとうございま~っす!!」

等と場を盛り上げ始め、ランク的に下の賞品から抽選はスタートしました。

回を増す毎にお姉さんのアナウンスは段々エスカレートして行きます。そして、とうとう"トリ"の 【ハワイ旅行、ペアで7日間、往復の航空券は★★航空の魅惑のビジネスクラス使用、そしてお泊りはあのハイアット・リージェンシイ・ワイキキにて!!】 と言う特賞の抽選に、某協賛会社の主要人物の方が取り掛かった時、誰もが当たる訳ね~よ!、と思いつつ、その一瞬に固唾を飲みました。確率は400分の1です。

「発表しま~っす!特賞は…・△△△トラベルの△△△△様!拍手をどうぞ~~っ!!」

会場の皆様のガッカリ・・・の空気をよそに、お姉さんのみ、熱気は最高潮でした。だがしかし、です。

「△△△△様~っ!△、△、△、△ さ・ま~っ!!」

とお姉さんが呼び続けるにも関わらず、当選者は出ていらっしゃいません。ハワイが当たってると言うのに、飲み食いだけでもう帰ってしまわれたのでしょうか?顔も知らないけど△△△△さんって、なんて大馬鹿モノだろう、と思いました。お姉さんも一瞬"失礼しちゃうわ~"と言う様な素振りをされたのを私は見逃しませんでしたが、そこはプロです。すぐに気を取り直して、

「それでは特賞は再抽選ですね。会長、もう一度お願い致しま~っす!」

と、再び場内のドキドキ感を盛り上げに掛かられました。そして抽選!

「あっ! 緑色のお名刺です・・。こちらは聞いた事の無いエージェントさんですね~。う~ん。□□□□トラベル、チョマッタリーナさ~~んっ!!あなたで~~っす!!!!」

周りの同僚の視線がドッと私に注がれました。その拾い物の特賞、受賞者とは何と、カウンター嬢にして一番ペーペーの私だったのです!私は興奮で人間の言葉を失い、壇上に駆け上がっても 『キャー!キャーッ!!』 と奇声を発する事しか出来ませんでした。私のテンションに付いて来る様に、司会のお姉さんも 『キャー!キャーッ!!』 と答えて下さいました。流石はプロ!!でも、同僚が後に語った話によると、その時の光景は、きらびやかなステージ上に2匹の猿が出て来て 『ウキーッ!ウキーッ!』 と喚き散らしたり2匹で抱き合ったりして大暴れしている様だった、との事らしいです。私は白人のガタイの大きなお爺ちゃんに無理矢理抱きすくめられ、キスされてしまった事だけは辛うじて覚えているのですが、少々頂いたお酒のせいで気分良くなっていた事も有り、その他の事は全く記憶に無いのでした。その他の目撃証言に拠ると、ステージ上の私は足をW型に震わせながらも「△△△△さ~ん、ありがと~!」と前当選者の方宛に、心にも無いお礼の言葉を口走りながら、「降りろ!」と言われてもステージを降りなかったそうです。

そんなこんなで、翌日からなぜか会社のみんなが、何かに付けてやけに私に優しくなりました。ハテ・・??と首をかしげる私に同僚にして同期のHが、

「景品、ペアだからよ、ペ・ア!チョマッタリーナは結局誰とハワイに行くの?勿論、私とでしょ??」

あ~~っ!!そう言う事だったのか~~~~!と"物事の原理?!"を悟った私は、世の中と言うモノと人間の単純さを冷笑しつつ、それ以上の単純さでどんどんと高飛車な態度になって行くのでした。そう、自分がペーペー、其の中でも一番下、と言う事さえ忘れて…・。でも、私よりかなり年上の娘さんが居られる上司(男性)にまで 『ハワイはわしと行こうな!』 と言われた時は 『この人は本気で言っているのだろうか・・?それは絶対に無い!でしょ~・・!』 と思ったりもしました。

その後、間もなくこの件についての支店長からのお達しが有り、会社がらみで当選したものだから、本人と社員のどの者かが行くのが妥当だろう、と言う事になり私がそのお相手を選出する事もなく、カウンターの直属の先輩と共に行く事になりました。その方は誰あろう、カウンターでは"鬼の様"と誰もに恐れられるXXさんで、私などはいつも御トイレにお呼びだしを頂いたり、と日々ご指導を頂いている大先輩、その人なのでした。こうして、私の"社内女王様時代"は、はかなくも3日間の命で終わり、その後には 『ここぞ』 とばかりにワガママ放題の限りを尽くした私への、社内全員からの"お返し"が待っているのみなのでした…・。

Written by 燃えるカウンター嬢 チョマッタリーナ