アジアの風だより 第231話 |
新春恒例寺院めぐり
2025年が始まりました。タイもなんとなく景気がよくなり、外国人観光客も戻ってきて、バンコクは完全に活気を取り戻しました。
大晦日から元旦にかけて、王宮の周辺は人と車で大混雑となりました。サナーム・ルアンで仏教系のイベントが開催されていることも重なって、道路は車でぎっしりの大渋滞。その大きな理由は初詣です。日本でもそうですが、初詣の慣習はタイにもあります。信仰心の厚い方々は白い服を着て大晦日から新年にかけて読経を行いますが、そこまでしなくても「元旦にはお寺に」と考えます。どうせ行くなら立派なお寺に……と考えるのもまた同じで、その結果サナーム・ルアンの周辺に並ぶ格式の高い王立寺院にこぞってみんな出かけます。
このエリアの人気寺院はワット・プラケオを筆頭に、巨大な寝釈迦仏で有名なワット・ポー、インスタ映えのするワット・アルンがあります。ただ近年この3寺院は参拝客が多すぎて、時間帯によっては入場制限が行われるほど混み合います。行くなら団体客が押しかける時間帯(特に午前中)を避けるか、あるいは思いきって別の寺院を参拝したほうが疲れなくてすむでしょう。
ただ、どこに行ったらいいかというと、それはかなり迷うところ。バンコクで名のある寺院は正直どこも混んでいます。有名でありながら静かで落ち着ける寺院はなかなか見つかりません。
格は高いが観光客はあまりいない寺院ならカオサン通りにも近い「ワット・ボウォーニウェート」はどうでしょうか。国王も出家修行される第一級王室寺院で、ラーマ9世の遺灰も安置されています。厚い信仰の対象になっている仏足石も見逃せません。
ワット・ポーにもほど近い「ワット・ラーチャボピット」もいいかもしれません。こちらも第一級王室寺院で、タイ仏教組織の中心でもあり、珍しい円形の回廊に囲まれた本堂はチュラロンコーン大王ことラーマ5世の欧風嗜好であでやかに装飾されています。
ほかにもいろいろありますが、俗気を避けるならこうした「ひと味違う」寺院に参ってみるのがいいかもしれません。穴場狙いもまた旅のひとつの楽しみとなるでしょう。
●国名:タイ
●県名:バンコク
- 行き方 -
大都会化したバンコクも歩けば寺に当たると言っていいほど寺院が集中しているので、大小にかかわらず見つけたらとりあえず参ってみるのがいいでしょう。
タイからはじめるバックパッカー入門 藤井伸二 著